【121】 山躑躅→ヤマツツジ
2007年 04月 30日
なんたる冴えぬなが紅ぞ、 朱もひなびて酸えはてし、 紅土(ラテライト)にもまぎるなり。
いざうちわたす銀の風、 無色の風とまぐはへよ、 世紀の末の児らのため。
さは云へまことやまつつじ、 日影くもりて丘ぬるみ、 ねむたきひるはかくてやすけき。
文語詩「山躑躅」(一百編)
ヤマツツジ(ツツジ科ツツジ属) 山躑躅
山野にふつうに生え、高さ1~4mになる半落葉低木。花はふつう朱赤色。
ツツジ科の樹木は丈夫で美しい花を咲かせ、花期も長い。多くの園芸品種もある。
丘丘にクリやナラに混じって暑い日差しをあびながら、咲きほこるヤマツツジ。
酸性化した赤土と見分けがつかないほど冴えない色だというのである。
「きわたる無色の風、銀色の風と結婚したらどうかね、お前の子孫が末永く繁栄するためにもさ」と、ユーモアをこめて語りかけているのである。紅土は、主として、鉄、アルミニウムの水酸化物から成る土壌で、文字どおり赤みがかったれんが状の土壌。ルビのラテライト(Laterite)は原名。
詩句にこうした専門用語がしぜんに登場するのも土壌学を専門に学んだ賢治らしい表現である。
風と結婚したためか、最近のツツジ科の植物には、さわやかな花も多い。
館林のつつじが岡公園のヤマツツジの古木はそろそろ盛りを過ぎた頃で、霧島つつじが見頃でしょうか。
伊香保周辺のヤマツツジは5月下旬、榛名山は6月に入ってからが見頃だと思います。
是非どうぞ♪