【129】 アンテリナム←キンギョソウ
2007年 05月 12日
潜んだ太陽に焼けて凄まじい朝になった
今日の設計には
あの悪魔風の鼠と赤とを使ってやらう
口をひらいた魚のかたちのアンテリナムでこさえてやらう
いまにあすこはみんな魔窟にかはるのだから
(略) 詩ノート「悪意」
キンギョソウ(ゴマノハグサ科キンギョソウ属)
アンテリナム( Antirrhium majus)は学名。地中海沿岸原産の1年草。
花の色は赤・桃 ・白 ・橙 ・黄 ・複色。
矮小性のリナリア(ヒメキンギョソウ)など、種類も多い。
花の形が独特なので、ドラゴンスナップ(英名)などと多彩な名前を持つ。
金魚の養殖で有名な愛知県弥富市の市の花にもなっている。
宮沢賢治は文学的レトリックともいえるが、植物に対して独特のイメージを持っていたようだ。
作品の背景には、教え子のひとりから花巻温泉の花壇設計の助言を求められたものの、温泉街が魔窟?歓楽街になることを憂える気持ちが強く作用している。
悪意をこめてアンテリナムを植えてやろうとつぶやいているのだが……。
この日の朝の空模様がそんな連想をさせるような凄まじいものだったのだろうか。
キンギョソウは実際育ててみるとかわいい花だ。
本当にそうですね。言葉のひびきやイメージもあって書いていますね。
自然科学の見識と文学と融合している世界ですよね。
賢治を読んでから見れば、よく知っているはずの花もまた新しい印象を受けます。