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ノブドウ←メクラブドウ

(略)
そこでめくらぶだうの青じろい樹液は、はげしくはげしく波うちました。
さうです。今日こそ、ただの一言でも、虹とことばをかはしたい、丘の上の小さなめくらぶだうの木が、よるのそらに燃える青いほのほよりも、もっと強い、もっとかなしいおもひを、はるかの美しい虹に捧げると、ただこれだけを伝へたい、ああ、それからならば、それからならば、実や葉が風にちぎられて、あの明るいつめたいまっ白の冬の眠りにはひっても、あるひはそのまま枯れてしまってもいいのでした。
                                    童話「めくらぶだうと虹」

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ノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)野葡萄
北海道から沖縄まで分布するツル性落葉多年草。
果実は、ブドウタマバエやブドウガリバチの幼虫の寄生(虫えい)により、虫こぶ状になり、形も大小様々で、色も白緑色、淡紫色、瑠璃色、赤紫色など変化に富んでいる。
メクラブドウとはノブドウの方言。実が盲人の目玉に似ているというのでこう呼んだ。

賢治はこの美しい実を地上の虹と見立て、天上の虹と対照させている。

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賢治祭で花巻を訪ねた。
在来線の花巻駅近く、ススキが生い茂る線路脇で、ウルシの樹木に絡まったノブドウを見つけた。色づき始めたばかりだった。
Commented by namiheiii at 2007-09-24 18:38
ノブドウ美しく撮れていますね。花巻にいらしたのですね。
じつはまだノブドウを見たことがありません。一度実物を見てみたいです。それにしてもこの色から虹を連想出来るだろうか。
Commented by sdknz610 at 2007-09-24 19:45
ノブドウ、良く見れば青から赤まで色んな色が・・・。
いい画だな~・・・♪
虹とことばを交わしたい・・・、という一節が印象的です。
自然への優しい心遣いが現れているんでしょうね。
Commented by ケイタロー at 2007-09-24 20:41 x
めくらぶどう…。きれいですね。
食べられないのですか?
酸っぱそうだけれど…。
Commented by mo-su1717 at 2007-09-24 21:22
ノブドウの実の色がきれいですね。きっとどこかで出合っているのでしょうけど、記憶にないのです見てみたい実の一つです。
Commented by nenemu8921 at 2007-09-24 22:05
namihei先生。ご無沙汰しました。
ノブドウは見沼にもあると思います。
もう10日もすれば、もっとカラフルになります。
草木おぼえがきの宇都宮貞子さんは、この色の乱舞は染め方の見本帖みたいだと言っています。
虹とは、いかにも賢治的です。
Commented by nenemu8921 at 2007-09-24 22:20
佐渡閑蔵さん。
めくらぶどうの実は虹の美しさ、立派さにあこがれています。
いずれ枯れてしまうわが身を嘆きます。
虹は「どんなものでも変らないものはないのです」といい、すべてのおとろえるもの、しわむもの、さだめないもの、はかないもの、すべてがかぎりないいのちだと諭します。
虹と木の実の会話ですが、禅問答のようでもあります。(*^_^*)

吾亦紅、拝見しました。とても好きな植物ですが、あんなすばらしい写真は撮れませんねえ。
Commented by nenemu8921 at 2007-09-24 22:30
ケイタローさん。食べないでください。
おなかをこわしますよ。
でも、このツルを根元から3寸くらい上がったところで切って、切り口を空のペットボトルの中へ入れておけば、切り口からどんどんと水が落ちて、2時間くらいでいっぱいになります。沢に近いところのものは良く出ます。
透明で、ちょっと渋い、すべらっこい水だそうです。
山の天然水といったところです。
これ、宇都宮貞子さんの受け売りですが…。
お試しください。

Commented by nenemu8921 at 2007-09-24 22:36
mo-suさん。きっと気にしてくださると行き会うと思います。
一度、行き会うと、あちこちで目に付くようになるものですよね。
10月いっぱい、チャンスです。見つけたら、画像展開してね。
by nenemu8921 | 2007-09-24 15:25 | 植物 | Comments(8)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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