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ツェラ高原→天の野原

そのとき私は大へんひどく疲れてゐて、たしか風と草穂との底に倒れてゐたのだとおもひます。
その秋風の昏倒の中で、私は私の錫いろの影法師にずゐぶん馬鹿ていねいな別れの挨拶をやってゐました。
そしてたゞひとり暗いこけももの敷物(カーペット)を踏んでツェラ高原をあるいて行きました。
(略)
私は魚のやうにあへぎながら何べんもあたりを見まはしました。
たゞ一かけの鳥も居ず、どこにもやさしい獣のかすかなけはひさへなかったのです。
                                        童話「インドラの網」

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                            (クリックすると画像は大きくなります)

(略)
(風だよ、草の穂だよ。ごうごうごうごう。)
こんな語(ことば)が私の頭の中で鳴りました。
                                        童話「インドラの網」

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賢治祭や宮沢賢治学会の総会などがあり、またイーハトーブへ行ってきました。
大勢の友人や先生方にお会いし、少し興奮し、少し疲れました。
最後の一日、レンタカーで、ひとりで岩手山麓をドライイブしてきました。
そのとき見つけた光景です。広大な高原でした。草紅葉でしょうか。
コケモモに似たアカモノも赤い実をつけていました。
人にも、幸い熊にも出会いませんでした。
天の野原のイメージが頭をよぎりました。
Commented by rinrin at 2008-09-25 17:13 x
nenemuさんの
この話のこんな所、と言う感じがとてもすきなのです
へーぇ・・と思って、また賢治の文章を読み直すんです^^;
そしてまたまた、nenemuさんに感心してしまいます。
ヨロシクです。♪
Commented by sdknz610 at 2008-09-25 22:16
天空の金色の草原をnenemuさん一人行く・・・こんないい所があったんですね。
イーハトーブの奥深さが又・・・。
ツェラ・・・インドラ・・・不思議な語感。賢治の創造力は無限・・・・。
Commented by mo-su1717 at 2008-09-26 00:33
こんばんわ
草紅葉綺麗ですね。13日に八幡平を歩いていました。まだこんなにきれいな色ではありませんでした。ほんとにいいところで今度はお花に時期にゆっくり訪れたいと思いました。
Commented by nenemu8921 at 2008-09-26 07:50
rinrinさん。イーハトーブへ行くと、あれを見てもこれに出会っても、賢治作品のフレイズが浮かんできます。
あっ、このシーン、あの場面だわ、あのことね、ああ、このことだったの…なあんて、一人でニコニコしたり、ため息ついたり……。
毎日、そんな中で暮らしているrinrinさんがうらやましいです。
Commented by nenemu8921 at 2008-09-26 08:01
samさん。奥日光の湿原もすばらしいですね。
東北は貴婦人もいないですが人も少ないので(*^_^*)、
気に入っています。
Commented by nenemu8921 at 2008-09-26 08:17
基子さん、ありがとうございます。
岩手山、八幡平、登ったのね!! エライ!!
八幡平、13日でしたか。10日違うと、草紅葉もだいぶ進みますね。
次回はぜひお花の季節に♪♪ 
ウメバチソウ,拝見しましたよ。


Commented by キッコ at 2008-09-26 13:57 x
天に手が届きそうな場所ですね。
「銀河鉄道の夜」でも、天の野原というのが出てきますが、あれも秋ですね。
ツェラ高原のモデルはパミールですか?ヒマラヤですか?
ツェラの命名は何か意味があるのですかね
Commented by グレ at 2008-09-26 22:56 x
こんばんは(*^。^*)/
いや~素敵な景色ですね!
日本じゃないみたいです(*^^)v
草紅葉が美しいですね。
ツェラ高原、インドラの網も賢治の造語ですか?
もともとある言葉のように自然な響きですけど!
Commented by nenemu8921 at 2008-09-27 00:38
キッコさん。こんばんわ。ツェラ高原のモデルはパミールこ高原か、ヒマラヤ高原か。
きゃあ、そんなこと、私に聞かないでね!!
ツェラのネーミングは金子民雄さんが何か書いていたような気もしますが…。
天の野原は硬質のイメージと秋の野原のイメージと混然としていますね。


Commented by nenemu8921 at 2008-09-27 00:48
グレさん、こんばんわ。
湿原も人がいないと、なにか神秘的ですよね。
インドラは因陀羅(帝釈天)のことだと思います。サンスクリット語?
ツェラは造語のようですが…。ことばの響きがいいですね。
ヒガンバナ、拝見しました!! 東北ではヒガンバナ、見かけることが少ないのはなぜかしら。
Commented by マルメロ at 2008-09-28 01:10 x
お帰りなさい。そしてお疲れ様でした。その余韻を岩手山麓にて一人で走って”そのとき大へんひどく疲れてゐて、たしか風と草穂との底に倒れてゐたのだとおもひます”・・とじっくり噛みしめていらしたとはかっこよすぎる~。同時に鳥っこ展もおしまいですね。とうとう行く機会がないままと大変口惜しいです。これがそのまま東京あるいは関東エリアで巡回をする機会はないんでしょうか。どうかこのままで終わることなんてないように・・もったいないです。
Commented by tamayam2 at 2008-09-28 04:34
池の面に青空が写った草原のお写真、なんと豊かな美でしょう!
それに、賢治のことば!いいご旅行をなさいましたね。
Commented by nenemu8921 at 2008-09-28 18:19
マルメロさん。いろいろありがとうございました。
おかげさまで、無事終了しました。
24日の午後、青春館へ顔を出し、学会の帰りに立ち寄ってくださった友人たちにも挨拶しました。
いまのところ、具体的なプランはありませんが、いつか、関東エリアで開催が実現できましたら、一番先にご連絡しますね(*^_^*)
24日に安比高原、八幡平をめぐってきました。
風が強くて、頂上付近はコワカッタです。

Commented by nenemu8921 at 2008-09-28 18:25
tamayamさん。あわただしい日程の中で、一日だけ羽を伸ばしました。
北海道の旅は一週間? ゆっくりされたようですね。ウラヤマシイ!


Commented by namiheiii at 2008-10-01 10:29
賢治と充実した日々を過されているようですね。羨ましいです。
7,8年前9月の八甲田を歩きました。草紅葉のよく似た風景でした。懐かしく思い出しました。
Commented by nenemu8921 at 2008-10-01 19:55
namihei先生。私は見沼田んぼがうらやましいです。
八甲田の田代湿原でしょうか。
あすこもいいところですね。
8月の末に立ち寄ったのですよ。小雨の中歩きました。
サワギキョウの群落がすばらしかったけれど、雨にだいぶ濡れました。
by nenemu8921 | 2008-09-25 09:59 | イメージ | Comments(16)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921