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2007年 01月 20日 ( 1 )

【62】 銀河鉄道の夜 鳥捕り・サギ

さぎといふものは、みんな天の川の砂が凝(こご)って、ぼおつとできるもんですからね。
そして始終川へ帰りますからね。川原で待ってゐて、鷺がみんな、脚をこういう風にして
下りてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、ぴたつと押へちまふんです。
                                        童話「銀河鉄道の夜」

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画像提供は堀内洋助さん

がらんとした桔梗いろの空から、さっき見たやうな鷺が、まるで雪の降るやうに、
ぎゃあぎゃあ叫びながら、いっぱいに舞ひおりて来ました。                
                                        童話「銀河鉄道の夜」
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画像提供は堀内洋助さん

サギ(コウノトリ目サギ科)
ここでのサギは白鷺のイメージであろう。白鷺というのは、ダイサギ、チュウサギ、コサギなど、羽毛の白いサギの総称である。
このサギたちは晩夏から初秋にかけて大きな群れをつくり、川原や水辺の芦原やススキ野原をねぐらとし、明け方、陽が登る直前にねぐらを飛び立ち、それぞれの餌稼ぎに散っていく。
陽が落ち、空に夕焼けの余韻が消え暗闇が訪れる前の短い時間、あたりは確かに桔梗いろになる。
そのとき鷺たちが次々と舞い降りてくるさまは実に美しい。
ゆっくりと脚で地面を確認するように着地する様子を見ていると、手を伸ばして「地べたにつくかつかないうちに、ぴたっと押さえ」たくなる衝動は誰しも感じるだろう。
ここには殺生という血生臭い要素はない。
この美しい光景、心を奪われる一瞬を永遠のものにしたいという願望こそ、人であれば誰しも感じる感覚ではないだろうか。
だからこそ、人は鳥の写真を撮り、絵を描き、詩を作る。
鳥捕りとは、鳥を撮る人である。
                 拙稿「銀河で立ちつくすもの」(『宮沢賢治17 特集ジョバンニ』洋々社)より
                                         
by nenemu8921 | 2007-01-20 14:04 | 鳥・動物 | Comments(2)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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