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2017年 02月 20日 ( 1 )

兎はめじろみたいに啼く?

先週訪れた青葉の森公園の梅林です。梅はちょうど見ごろでした。
10羽ほどのメジロが訪れて、枝から枝へ飛びまわり、また飛んでいきました。
林内を周遊しているようです。チィーという声で近づいてきます。
(さえずりは、よく「ちょうべえ、ちゅうべえ、ちょうちゅうべえ」と聞きなしされますね。)
宮沢賢治の詩作品の中で、兎がメジロのように啼くという一説があって気になります。……。


何をやっても間に合はない
そのありふれた仲間のひとり
雑誌を読んで兎を飼って
巣箱もみんな自分でこさえ
犬小屋ののきに二十ちかくもならべれば
その眼がみんなうるんで赤く
こっちの手からささげも喰へば
めじろみたいに啼きもする
(略)
             詩〔何をやっても間に合はない〕

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兎は普通啼かない動物だと思われています。
動物園の飼育員さんに聞いてみたら、なんと!! 啼くそうですよ。
ナキウサギでなくとも、小さな声で呟くように啼きますとのことでした。

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〔何をやっても間に合わない〕というこの詩は、羅須地人協会時代の作品。
作者(賢治)が、雨の中、訪ねる家がわからず、道を聞こうとして、ある農家で、目にした光景を描いています。
農村の青年が(豊かな生活を目指して?)兎の飼育をしている情景でしょうか。
下書稿では、人称が明確にされずに、カタログで取り寄せたグラジオラスを咲かせたり、胞子を購入してマッシュルームの栽培をすることなども描かれますが、最終稿では削除されていきます。
作品の日付と、伝記的事象と、作品そのものは、多重露光された画像のようです。
一つの体験をもとに作品化し、手を入れていくうちに、想像と願望と、現実と、作品の内容は虚実入り混じっていると思われます。
伝わってくるのは、この時期の宮沢賢治の強い焦燥感ばかりです。
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それにしても、このメジロ君、
吸蜜のためにあれこれ試みるこのポーズ、この身体のしなやかさ。
最近、身体がカチカチに硬くなった私などは実にうらやましい限りです。
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枝から枝へジャンプもします。この必死な表情!!

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賢治の時代、野鳥を飼育するのは、ごく日常的なことでしたから、
身近にメジロを鳥かごに入れて飼育する人もあって、
観察する機会は多かったのでしょうね。
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童話「よだかの星」では、
「赤ん坊のめじろが巣から落ちてゐたときは、助けて巣へ連れて行ってやった。そうしたらめじろは、赤ん坊をまるでぬす人からでもとりかえすやうに僕からひきはなしたんだなあ。それからひどく僕を笑ったっけ。(略)」と描かれています。
梅の枝や河津さくらの咲く中で出会うメジロは誰でもかわいい!!と感じます。
こんな意地悪なキャラクターには似合わない気がします。
でも、よく見れば、メジロのその眼は厳しい表情ですよね。
おそらく賢治は飼育されたメジロを見る機会が多かったのではないかなと思います。

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現在と違って、身近に双眼鏡もないし、ビジュアルな情報は本当に少なかったでしょうから。
メジロのこんな画像を見たら、また新しいメジロの物語が生まれていたかもしれないなと思う私です。(@^^)/~~~
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この春は、メジロに出会う機会が多く、たくさん撮りました。
いずれ、また、ご紹介します。


by nenemu8921 | 2017-02-20 08:49 | 鳥・動物 | Comments(22)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


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