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ひびわれのほそえだ

せともののひびわれのごとくほそえだは
さびしく白きそらをわかちぬ
                       歌稿A28


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葉を落とした樹木の骨格は思いがけない美しさを見せる。
冬空に見とれてしまう。
だが、賢治は瀬戸物のひびわれを連想したのだ。
やはり、独特の感性ですね。
15歳の頃、短歌創作を始めて、ごく初期の頃の作品。

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by nenemu8921 | 2009-02-26 18:09 | イメージ | Comments(10)

富士山と夕景

空気が澄む冬の間、天候次第で東京湾から富士山が見える。
さすがは富士山だ、大きいなと思う。
ちょうど夕日が富士の後ろに沈むこの時期、近くの海、三番瀬は
ダイヤモンド富士の写真を撮ろうという、三脚を抱えたカメラマンで賑やかになる。
しかし、こう温かくては、空も富士もぼんやりしてしまいます。

賢治作品にも夕景と富士山が登場する詩があった。

思いがけなく
雲に包まれた富士の右で
一つの灰色の雲の峯が
その葡萄状の周縁をかがやく金の環で飾られ
さん然として立って居ります
       ……風と
          風と
(略)

あなたの上のそらはいちめん
そらはいちめん
かがやくかがやく
        猩々緋(しょうじょうひ)です
                       詩「三原三部」


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昭和3年6月、大島の伊藤七雄を訪ねた賢治は妹の伊藤ちえに心惹かれたといわれている。
長い三原三部という詩の中で、この一節は、帰途の船からの描写である。
猩々緋は夕空のたとえ、賢治の心も燃えていたのかもしれない。
by nenemu8921 | 2009-02-13 08:37 | イメージ | Comments(12)

雪沓(ゆきぐつ)

雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の板でできてゐるらしいのです。
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「堅雪かんこ、しみ雪しんこ。」
お日様がまっ白に燃えて百合の匂いを撒きちらし又雪をぎらぎら照らしました。
木なんかみんなザラメを掛けたやうに霜でぴかぴかしてゐます。
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「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」
四郎とかん子とは小さな雪沓をはいてキックキックキック、野原に出ました。
                                           童話「雪渡り」

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by nenemu8921 | 2009-02-10 09:36 | イメージ | Comments(22)

雨上がり

(略)
こんなあかるい穹窿(きゅうりゅう)と草を
はんにちゆっくりあるくことは
いったいなんといふおんけいだらう
(略)
                  詩「一本木野」

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雨上がりの都市公園で、遠く岩手山麓を歩いた賢治の言葉が突き上げてきた。季節も場所も全く異なる時空でも、宮沢賢治はいつも共にあるという実感がある。
気持ちのよい半日だったのです。
by nenemu8921 | 2009-02-04 16:45 | イメージ | Comments(12)

夕焼け

いまいちど
空はまっかに燃えにけり
薄明穹の
いのりのなかに 
               歌稿392


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もう一度、空は真っ赤に燃えました。
 (夕方の)薄明の空の(下における私の)祈りの最中に。
                    
「大正五年十月より」中の作品。
現代語訳は、2006.8.13付けの盛岡タイムスの望月善次氏の解釈によるもの。
若き賢治が立つのは、イーハトーブの空の下。画像は東京湾からのもの。
by nenemu8921 | 2008-12-10 19:32 | イメージ | Comments(11)

どっどど どどうど


「どこがらだが風吹いでるぞ。」
「又三郎吹がせだらべも。」

どっどど どどうど どどうど どどう

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季節外れの大風が吹き、雷が鳴り、もみじはみな散りました。
又三郎のいたずらかと思いました。

引用は「風の又三郎」から。
by nenemu8921 | 2008-12-09 08:02 | イメージ | Comments(10)

秋の日

あるすきとほるやうに黄金いろの秋の日…

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紅葉した木々の下に立って、空を仰げば、黄金いろの光がシャワーのようにふりそそぐ。
引用文は「土神ときつね」から。
by nenemu8921 | 2008-12-07 22:34 | イメージ | Comments(12)

まあ、あなたの

「まあ、あなたの美しくなったこと。
 あなたのまはりは桃色の後光よ。」
「ほんたうよ。
 あなたのまはりは虹から赤い光だけ集めて来たやうよ。」


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紅葉した葉がかがやく陽のひかりをあびて、ささやきあっていた。
引用は「まなづるとダァリヤ」から。
by nenemu8921 | 2008-12-07 00:53 | イメージ | Comments(15)

すべての

すべてのおとろえるもの
しわむもの
さだめないもの
はかないもの
みなかぎりないいのちです
                        童話「めくらぶだうと虹」


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作品中の言葉の一つ一つは、前後の文脈の中で、意味を持つが、物語の流れの中に掌をさしいいれて、ふと掬いあげてみれば、その言葉は独立してたちあがってくる。
それは、元の文脈におかまいなしに、新たなイメージを拡げ、息づいている。
賢治文学の不思議な魅力だ。

資料的なレベルからは外れるが、しばらくお許しを頂き、イメージであそびたい。
by nenemu8921 | 2008-12-05 23:10 | イメージ | Comments(11)

あやしき蜘蛛

(略)
私の父はちかごろ毎日申します。
「きさまは世間のこの苦しい中で農林の学校を出ながら何のざまだ。何か考へろ。
みんなのためになれ。錦絵なんかを折角ひねくりまわすとは不届千万。
アメリカへ行かうのと考へるとは不見識の骨頂。
きさまはたうとう人生の第一義を忘れて邪道にふみ入ったな。」
おゝ、邪道 O’JADO! O’JADO! 私は邪道を行く。見よこの邪見者のすがた。
(略)
見よ。
このあやしき蜘蛛の姿。
あやしき蜘蛛のすがた。
(略)
                            書簡154 保阪嘉内あて
                            大正8(1919)年 8月20日前後 封書

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ジョロウグモ(コガネグモ科)秋の蜘蛛の代表。人家周辺に多い。
(あやしき蜘蛛はジョロウグモと明記されているわけではありませんが…)

この時期の賢治は、盛岡高等農林学校の研究生として、稗貫郡の土性調査にかかわっていた。家から独立して東京で人造宝石製造をしたいという賢治の願いは、父に許されず、鬱々とした日々だった。質・古着商という家業になじむことが出来ず、自立することも出来ず、懊悩するばかりだった。
青年団指導者講習受講のため、上京していた高農時代の友人保阪嘉内にあてたこの手紙には、まさに発狂前夜のような、その心情が赤裸々に記されている。
賢治が家を出て国柱会の門を叩くのは大正10年の1月である。

錦絵は浮世絵のこと。賢治の浮世絵コレクションは有名である。

保阪嘉内に関してはこちらをどうぞ。

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by nenemu8921 | 2008-11-28 10:36 | イメージ | Comments(9)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921