春はまだきの朱(あけ)雲を
アルペン農の汗に燃し
縄と菩提樹皮(マダカ)にうちよそひ
風とひかりにちかひせり
四月は風のかぐはしく
雲かげ原を超えくれば
雪解けの草をわたる
「種山ヶ原」
マダカとルビを振った菩提樹皮はオオバボダイジュ(あるいはシナノキ)の樹皮から糸を紡いで織った防水用のコートで、けらと呼んだ。
イーハトーブの農民たちはこの樹をマダともマンダとも言い、樹皮から紡いだ糸を織り、けらを作った。
一見蓑のような形態だが、藁製のものと異なって、軽く、雨をはじくので重宝したらしい。
オオバボダイジュもシナノキ科で、シナノキとよく似た樹木で、材質も似ている。
どちらも東北には多く、混同して使用したらしい。
彼らは植物の分類にはこだわらず、賢治にかかると多くはマダ皮とか、マダとか表記されている。
またこの樹木は蜜源植物でもあり、最近は養蜂家にも利用されているという。
思いがけず出会ったシナノキに多くの昆虫が集っていたのももっともだったのである。
これはマルモンシロナミシャクでしょうか。
この子は蜜蜂さんでしょうが、種類はわかりません。
こちらはおなじみのクマバチ君ですね。
白い蝶がとまっているのがわかりますか?
あら、小ぶりのスズメバチも来ていましたよ。
これは見慣れたホウジャクやスカシバの仲間でしょうか。まあ、フードコートですね。たっぷり召し上がってください。(^_-)-☆