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タグ:めくらぶだうと虹 ( 11 ) タグの人気記事

おとろえるもの、しわむもの、……

「いいえ、変ります。変ります。
私の実の光なんか、もうすぐ風に持って行かれます。
雪にうずまって白くなってしまいます。
枯れ草の中で腐ってしまいます。」(略)
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「ええ、そうです。本とうはどんなものでも変らないものはないのです。(略)
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又、この眼の前の、美しい丘や野原も、みな一秒ずつけずられたりくずれたりしています。
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けれども、もしも、まことのちからが、これらの中にあらわれるときは、
すべてのおとろえるもの、
しわむもの、
さだめないもの、
はかないもの、みなかぎりないいのちです。
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わたくしでさえ、ただ三秒ひらめくときも、半時空にかかるときもいつもおんなじよろこびです。」
                                                 童話「めくらぶだうと虹」

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紅葉の美しいお寺の境内で、末枯れたアジサイの花びら(正確にはガクなんですよね)を見つけた。
色づいた木々を背景に逆光に透かして見ると、美しく、撮らずにはいられなかった。
それは光の魔法が解ければ、ただのしわしわの塊で、もうすぐ風に持っていかれたり、
雪にうずまったりする運命の末枯れ花だ。
すがれたアジサイもイーハトーブ語が話せたら、めくらぶどうと同じようにつぶやくかもしれない。

「めくらぶだうと虹」は、タイトルにあるように虹へ向って、めくらぶどう(ノブドウ)が切ない想いを訴えると、
やや、お説教めいて諭されるはなしであるが、「すべてのおとろえるもの、しわむもの、さだめないもの、
はかないもの、みなかぎりないいのちです。」という簡潔な言葉のなかに、賢治文学の普遍のテーマが
息づいているように思う。
by nenemu8921 | 2013-12-02 17:57 | 植物 | Comments(27)

めくらぶだう

その城あとのまん中に、小さな四っ角山があって、上のやぶには、めくらぶだうの実が、
虹のやうに熟れてゐました。


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東の灰色の山脈の上を、冷たい風がふっと通って、大きな虹が、明るい夢の橋のやうに
やさしく空にあらはれました。
そこで、めくらぶだうの青じろい樹液は、はげしくはげしく波うちました。


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さうです。今日こそ、ただの一言でも、虹と言葉をかはしたい、丘の上の小さなめくらぶだうの木が、
よるのそらに燃える青いほのほよりも、もっと強い、もっとかなしいおもひを、はるかの美しい虹に捧げると、
たゞこれだけを伝へたい、あゝ、それからならば、それからならば、実や葉が風にちぎられて、あの明るい
つめたいまっ白の冬の眠りにはいっても、あるひはそのまゝ枯れてしまってもいゝのでした。
                                           童話「めくらぶだうと虹」


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ノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)Ampelopsis glandulosa var. heterophylla 野葡萄

めくらぶどうは、標準和名ノブドウの地方名。
藪や空地で、日本全国、どこでも見られるが、野にあるものゆえ、葉は風にちぎれて、実は鳥に啄ばまれ、
美しい株に出会うことが少ない。
童話の作品舞台は花巻の城跡だが、思いがけず、花巻駅の線路際でこれを見つけた。
ついつい、夢中になって撮影しているうちに、総会の開始時間に遅れてしまった。

先月のイーハトーブでした。
by nenemu8921 | 2013-10-13 08:18 | 植物 | Comments(24)

めくらぶだう → ノブドウ

(略)
その城あとのまん中に、小さな四っ角山があって、
           上のやぶには、めくらぶだうの実が、虹のやうに熟れてゐました。
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(略)めくらぶだうは感激して、
        すきとほった深い息をつき葉から雫をぽたぽたこぼしました。
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(略)そこでめくらぶだうの青じろい樹液は、
                はげしくはげしく波うちました。
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 さうです。
 今日こそ、ただの一言でも、虹とことばをかはしたい、
             丘の上の小さなめくらぶだうの木が、
                   よるのそらに燃える青いほのほよりも、
                              もっと強い、もっとかなしいおもひを、
                   はるかの虹に捧げると、ただこれだけを伝へたい、
                        ああ、それからならば、実や葉が風にちぎられて、
           あの明るいつめたいまっ白の冬の眠りにはいっても、
                  あるひはそのまま枯れてしまってもいいのでした。
                                      童話「めくらぶだうと虹」
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ノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)Ampelopsis glandulosa var. heterophylla 野葡萄
めくらぶだうはノブドウの地方名。

ノブドウが目に留まる季節になった。でも、きれいな株にはなかなか出会えない。
実が色づく頃には葉が枯れてしまうからだ。
賢治作品ではめくらぶだうだけれども、ウマブドウとよぶ地方は多い。

植物の語り部と称された宇都宮貞子さんの「草木覚書」は忘れらない。
「近寄ってみると、それは下手に丸めた白団子で、いびつだし、大小さまざまある。
そこへかかった染粉の具合もいろいろで、梨地、胡麻点散らし、墨流し模様、どぎつい青一色、
薄緑地に黒っぽい赤紫の霧吹き染めなど、染め方の見本帳みたいだ」
                               宇都宮貞子「秋の草木」より                 
                     

by nenemu8921 | 2012-10-30 15:39 | 植物 | Comments(28)

   すべてのおとろえるもの
   しわむもの
   さだまらないもの
   はかないもの
   みなかぎりないいのちです
                童話「めくらぶだうと虹」

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by nenemu8921 | 2012-06-22 19:26 | 植物 | Comments(14)

末枯れるもの

(略)すべてのおとろへるもの、しわむもの、さだめないもの、
はかないもの、みなかぎりないいのちです。
                           童話「めくらぶだうと虹」


画像はクリックすると大きくなります。
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オオウバユリ(ユリ科ウバユリ属)Cardiocrinum cordatum var. glehnii  大姥百合
花は清楚ですが、こうなるとたしかに大姥ですね。
クリックして見てください。迫力があります。


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ノリウツギ(アジサイ科アジサイ属)Hydrangea paniculata 糊空木
見かけると、ついつい、撮りたくなります。

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More  おまけです。
by nenemu8921 | 2011-11-20 17:36 | 植物 | Comments(10)

変わるものと変わらないもの

本たうはどんなものでも変らないものはないのです。(略)
又、この眼の前の、美しい丘や野原も、みな一秒づつ
けづられたりくづれたりしてゐます。


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画像はクリックすると、みな大きくなります。

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けれども、もしも、まことのちからが、これらの中にあらはれるときは、
すべてのおとろへるもの、しわむもの、さだめないもの、はかないもの、みなかぎりないいのちです。(略)

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すべてまことのひかりのなかに、いっしょにすむ人は、いつでもいっしょに行くのです。
                                                童話「めくらぶだうと虹」


木々の紅葉もさる三日の雨嵐ですっかり散った。美しい草もみじもまもなく枯れてゆく。
「変化する」ことこそ、「変化することのない真理」であるという。
賢治文学の主題である「まことのちから」は、万象を変化させる起動力、それこそ宇宙の根源的生命力とでも言うべきエネルギーであるというのが恩田逸夫先生のお説である。
by nenemu8921 | 2010-12-06 07:52 | イメージ | Comments(22)

めくらぶどう

かすかなる
日照りあめ降り
しろあとに
めくらぶだうの実はうれてあり
                 歌稿B212

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かすかなる日照りあめ降りしろあとのめくらぶだうは熟れひかりけり
                                      歌稿A212
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ノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)野葡萄
山地や丘陵地、野原や川原にごくふつうに生える落葉つる性木本。めくらぶどうは花巻地方の方言。
この植物をウマブドウと呼ぶ地域は広い。

しろあとは花巻城跡のこと。わかりやすい短歌である。
以前、童話「めくらぶだうと虹」とともに、このノブドウを紹介した。よかったらこちらをどうぞ。
「めくらぶだうと虹」も、舞台はやはり城跡である。
きっと、花巻城跡で見たこのノブドウの実が賢治には印象深かったのだろう。
今年のノブドウは近所のコンビニ脇の京葉線の高架下で撮影した。
毎年撮るのになかなか気に入った画像が得られない……。(涙)
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by nenemu8921 | 2010-11-18 17:12 | 植物 | Comments(10)

すべての

すべてのおとろえるもの
しわむもの
さだめないもの
はかないもの
みなかぎりないいのちです
                        童話「めくらぶだうと虹」


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作品中の言葉の一つ一つは、前後の文脈の中で、意味を持つが、物語の流れの中に掌をさしいいれて、ふと掬いあげてみれば、その言葉は独立してたちあがってくる。
それは、元の文脈におかまいなしに、新たなイメージを拡げ、息づいている。
賢治文学の不思議な魅力だ。

資料的なレベルからは外れるが、しばらくお許しを頂き、イメージであそびたい。
by nenemu8921 | 2008-12-05 23:10 | イメージ | Comments(11)

めくらぶだう→ノブドウ

(略)その城あとのまん中に、小さな四っ角山があって、上のやぶには、めくらぶだうの実が、虹のやうに熟れてゐました。
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(略)
そのかすかなかすかな日照り雨がはれましたので、草はきらきら光り、向ふの山は明るくなって、大へんまぶしさうにわらってゐます。
そっちの方から、もずが、まるで音符をばらばらにしてふりまいたやうに飛んで来て、みんな一度に、銀のすゝきの穂にとまりました。
めくらぶだうは感激して、すきとほった深い息をつき、葉から雫をぽたぽたこぼしました。
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(略)めくらぶだうの青じろい樹液は、はげしくはげしく波うちました。
さうです。今日こそ、たゞの一言でも、虹とことばをかはしたい、丘の上の小さなめくらぶだうの木が、よるのそらに燃える青いほのほよりも、もっと強い、もっとかなしいおもひを、はるかの美しい虹に捧げると、……(略)
                       童話「めくらぶだうと虹」

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ノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)野葡萄
山地や丘陵地、野原や河原にごくふつうに生える落葉つる性木本。茎の基部は直径4cmほどになる。葉と対生して二俣に分かれた巻きひげがある。
葉は互生し、直径4~13cmのほぼ円形、ふつう3~5裂する。7~8月、茎先に葉に対生して花序を出し、淡緑色の小花を開く。液果は球形で、淡緑色から紫色、碧色となる。

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by nenemu8921 | 2008-11-04 22:53 | 植物 | Comments(12)

【99】 ライラック

今夜市庁のホールでうたふマリヴロン女史が、ライラック色のもすそをひいてみんなをのがれて来たのである。
                                        童話「マリヴロンと少女」


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ライラック(モクセイ科ハシドイ属)
別名リラ。ムラサキハシドイ。美しい花とその芳香が愛され、庭木などで親しまれている落葉小高木。ちなみにハシドイとは、木の枝先に花が集まって咲くことから「ハシツドイ=端集い」と言われていたものが、つまったものという。
原産地は東ヨーロッパ。日本に入ってきたのは明治半ば。花色は白もある。

「めくらぶだうと虹」に手入れした作品。
めくらぶだうが少女ギルダに、虹が声楽家マリヴロンに置き換えられている。
賢治が中学生のときの英語の教科書に、フランスのオペラ歌手マリー・マリブラン(1806~1838)のエピソードが載っていたという。
by nenemu8921 | 2007-03-31 22:27 | 植物 | Comments(4)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921
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