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木沓(きぐつ)

(略)
すると向ふから髪の赭い小さな子が急いでわたくしの方へやって来ます。
その子は手や足ははだかで黒いチョッキだけを着て背嚢をしょってゐました。
わたくしはもうすぐその子はファリーズ小学校の生徒だといふことがわかりました。
なぜならその子の行く方にはたった一つ柏の林の中にファリーズ小学校があるだけで、
そこの生徒なら木沓にかれくさをつめてはいてゐたり、本がなくてかはりに白樺の皮を机の上にひろげて置いたり、それはもう野原のいろいろな子供らが集ってゐるのでしたから。
(略)
                                            童話〔ポランの広場〕

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ふなばしアンデルセン公園で

「ポラーノの広場」の初期形とされている原稿である。
思いがけないところで木沓(木靴、木ぐつ)に出会った。
なぜ、子供は木沓に枯れ草を詰めてはいているか。
それは、もちろんサイズが大きすぎるので、足が靴から抜けないようにであろう。
アンデルセンの「マッチ売りの少女」は次のようにはじまっている。

それは、たいへん寒い日でした。雪が降っていました。そして、あたりは、もう暗くなりはじめました。
それはまた、一年の一ばんおしまいの夜、つまり大みそかの晩でした。この寒い、そして暗いなかを一人のみすぼらしい身なりの年のいかない少女が一人、帽子もかぶらず、おまけにはだしで、通りを歩いていました。でも、家を出た時は、それでも木ぐつをはいていたのです。けれども、そんなものが、なんのたしになるでしょう。それはとても大きな木ぐつでした。むりもありません。ついこのあいだまではお母さんがはいていたのですから。だから大きかったのです。しかもそれすらさっき往来をいそいで横ぎろうとした時、なくしてしまったのです。なにしろ二台の馬車がおそろしい勢いで走ってきたものですから。こんなわけで、木ぐつは片方見つかりませんでした。もう片方は男の子が持っていってしまいました。そして、いまに赤ん坊が生まれたらゆりかごに使えるよ、と言いました。
                                         アンゼルゼン「マッチ売りの少女」

木製の靴は、東北の民俗には見当たらない。宮沢賢治がアンデルセンの影響を受けたことはよく知られているが、木の靴(賢治は木沓と表記している)というモチーフもアンデルセンの影響かもしれない。

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by nenemu8921 | 2011-01-20 14:12 | その他 | Comments(14)

宮沢賢治の愛した鳥や植物


by nenemu8921
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